この世界は人と竜が支えあって暮らしています。
この世界では人と竜を結ぶ儀式があります。
「出会いの儀」「巡礼の儀(旅)」「結びの儀」
3つの大きな出来事を軸に描かれる物語。
竜の里で封印された厄災竜と伝えられている「黒竜」を解放してしまった少年を中心に描かれる物語。
黒竜の封印を解いてしまったことで里を追われるかどうかの瀬戸際。
里は襲撃に会い、祭壇に祀られていた竜玉を奪われてしまいます。
その襲撃で黒竜の力は主人公の幼い肉体では耐えきれず、黒竜は主人公を連れて襲撃者から逃れるために里から出ていくことになりました。
襲撃者の目的はあくまで「竜玉の奪取」であったため、里の被害に対して死傷者の数は多くはありませんでした。
ここまでが第一部。
それから1年後、みごと生還を果たし冒険者として活動を続けていたところ、彼は冒険者たちの話を耳にします。
襲撃があった里は今年も「巡礼の儀」を執り行うんだとよ。
何事もなければ主人公もその巡礼の儀に参加していました。
近くの里からの巡礼者もちらほら見かけるようになり、そこでお姫様と出会いました。
姫は巡礼者と同様、聖竜のもとを巡礼し竜神の妃として認めてもらう旅をしていました。
たまたま出会った姫は主人公に同行することを求め、主人公は黒竜と話し合い「巡礼の儀」のように四方に住まう「聖竜」に会いに行くことを決めました。
その旅で知ることになる黒竜の秘密、主人公の謎、そして。
ここまでが第二部。
そして、旅を終えた十五の歳で執り行われる「結びの儀」
それは卵の時からずっと共にいる竜と人がこれまでの絆を形ある契約として結ぶ儀式。
それまでは卵を産んだマザードラゴンとの仮契約でしかなく、この齢までに竜との絆を築けなければこの結びの儀には参加することは出来ない。
そして姫と竜神の婚約の儀もまた同時に行われる。
その頃には姫は主人公に恋をしていた。だが姫である以上叶わぬ恋。
しかし、結びの儀と婚約の儀を中心に巻き起こる波乱。
主人公たちのピンチに姫は竜神に助けを求めました。妃になり身も心もあなたのものになるから彼らは助けてください。
主人公たちと姫は離れ離れとなってしまいます。
そして、主人公が目覚めると 世界樹より遠い地域でした。
黒竜がいなくなり、ひとりで仲間を再集結させ姫を取り戻す旅、終幕の第三部。
3つの儀式
出会いの儀
まさしく出会いの儀式。
竜の里の近くには必ず竜の住まう場所が存在する。それは森であったり岩場であったり。
竜の里に住まう幼子たちはその場所へと足を踏み入れ、卵を守る母竜(マザードラゴン)に認められ、卵を預かるという内容である。
母竜たちは子どもたちを見守り、育む。
自らが認めた幼子に自分の卵を預け、共に生きるための契約をする。
その卵を預かった子どもは卵が孵るのを待つ。
その卵から産まれる竜は、人が生涯を共に生き続ける竜であり、一部の人は「伴侶」とすら呼んでいる。
母竜に選ばれなかった子どもは例がないほどなのだが、主人公は選ばれず他の子が卵を授かった後でも森を出入りしていた。
巡礼の儀
この大陸の四方に住まう「聖竜」のもとに巡礼に行く儀式のこと。
毎年十の歳の子たちは竜の里を飛び出し、竜とと共に旅をする。
その儀式は大陸中が認知しており、大人たちも全力でサポートする風習が染みついている。
ただし、それでも子どもは十の歳であり危険が伴うのも当然のこと。
この巡礼の本質は単に聖竜に会うことではなく、次の段階である「結びの儀」の前段階にあるものであり、竜と人が絆を育むためのものである。
大半の子どもは冒険者に身をやつし、様々な町や人との出会い、そして苦難を通して竜と共に成長していく。
竜に支えてもらい、人も竜を支える。共存していくのだ。
その段階を超えられているのか、聖竜は人と竜に試練を与えて試す。
竜は人に尊敬され恐れられもするが、強さこそが竜なのではない。
結びの儀
人が十五の歳。
これまでは母竜との仮契約だった結びつきも、これまで絆を育ませた竜と直接契約するための儀式である。
儀式が行われるのは大陸中央に位置する竜の里。
そこには「神樹」とすら呼ばれる大きな幹の樹木がそびえたっている。
その場所で子どもたちと竜が集結し、儀式を執り行う。
ここまでこれたものに竜と人の絆がない者はいない。
浅からぬ縁が彼らを結び付けている。
この儀式を受けて、彼らはようやく一人前のスタートである。
竜
いとも簡単に人を殺せる脅威であり、人が崇める神聖な存在でもある。
そして、人と共存し支えあう身近な存在でもある。
人は竜とともにあり。
黒竜(厄災竜)
主人公と共に行動することになった竜。
主人公の暮らす里の傍に位置する森に封印されていたが悪ガキの影響で封印が解かれ、主人公と出会う。
500年も昔の人竜戦役がきっかけで封印されていた。
その正体は双子の竜神の片割れであった。竜神同士の争いは里を壊滅状態まで陥れた。
母竜(マザードラゴン)
竜の住まう地にいる雌竜。
そのほとんどがパートナーである人が亡くなった後も生き続けている竜である。
彼女らは儀式にやってきた子どもたちを見定め、産み落とした卵を里の子たちに授ける。
子どもの成長を見守り、過度な干渉はしない。
聖竜
大陸の四方に住まう特別な竜。
人の何十倍もの時を生きており、大陸の歴史をよく知る長寿の竜。
その間に幾万もの子どもたちに試練を与え、成長を促してきた。
時に強さを、時に技術を、時に精神を。
もちろん黒竜の真実も知っており、黒竜の決断を見守っている。
神竜
聖竜よりも偉い存在の神の名を持つ竜。
その存在は人にとって架空の存在とすら認識している者がいるほど、人里に降りてくることはない。
普段は神樹のもとで暮らしているという伝説が残っている。
竜と人の共存を望んだのも大昔の神竜なのである。
神として崇められていた竜は人と対等であることを選んだ。
神竜と呼ばれているのはその頃の名残である。決して特別な力を持つ竜を指しているわけではない。
竜神
神竜の中での王。あるいは王族を指して「竜神」と呼ばれる。
全ての竜を統べる存在であり、竜は彼らの力にひれ伏すしかない。
現代の竜神は双子であった。
竜と人が対等であるように提案した竜であるものの、その優しさは人によって踏みにじられ人竜戦役が巻き起こる。
人は神樹の根本「竜の眠る土地」に溜まるエネルギーを欲した。
その出来事がきっかけで前当主の竜神は「人は竜と共にあり」を掲げ、共存という名目で人があらぬ方向に歩まぬように導こうという思想になったという。
そしてそれを象徴するように竜神は人の代表者たる姫を妻に迎え入れ、共存の形を示している。
人竜戦役の影響で双子の片割れは人間の手で封印され、竜神(当主)の座を受け継げるのはひとりのみとなっていた。
彼が竜神の名を受け継いだ時期が本編開始前の時間軸となる。それゆえに主人公の旅と姫の巡礼の時期が被ったともいえる。
はぐれ竜
人との絆を結べなかった竜のなれの果て。
人を信用できず、人に害を成し暴れる竜。
神樹と竜の眠る地
大陸の中央に位置するそれは大きな樹木。
そこには神竜なるものたちが住まう土地にもなっていた。
そしてその神樹の根本は寿命を迎える竜たちが集う「竜の眠る地」なる場所が形成されていた。
自らの死を悟った竜たちはこの地に眠り、神樹の栄養となる。
神樹がこれだけ大きな木になったのも竜のエネルギーを吸い上げたからである。
そう、竜の眠る地には膨大なエネルギーが眠っている。
数百年前からある組織がそのエネルギーを狙って暗躍している。
竜玉
竜の里や聖竜の住まう地に祀られている玉。
それに何の力があるのかはほとんどの人は知らない。
人物紹介(おおまかに)
主人公
物語の主人公。臆病で気弱な少年だった。
冒頭時の齢五つ。
「出会いの儀」では母竜に見定められることなく、竜の卵を授かれなかったことで周りの子どもたちにいじめられていた。
それでも森への来訪を繰り返したところ、いじめっ子により黒竜が封印されていった社が破壊され、黒竜と出会うことになる。
その後封印の処罰を里長たちが話し合っている最中、黒竜と共に過ごしていた。
しかし、その処罰が決定する前に里は襲われ、その際に里に訪れていたこの騒動の主犯格「竜賢者」と相対するものの黒竜との契約により、身体が焼き切れるような痛みに襲われ逃げることとなった。
こうして主人公は里を離れた。
一年後、彼は黒竜の力を克服し冒険者に身をやつして生活していたが、そこで姫と出会って巡礼の旅の同行者を命じられる。
若干不本意ながらも姫を護衛する旅が始まった。
その旅の中で主人公は姫に惹かれつつも無自覚に対応し、姫を守り傍にい続けた。
そして、大きな運命の渦に呑まれていたことに気が付いていく。
黒竜
竜住まう土地に封じられていた厄災竜。
その身体が黒々としていることから「黒竜」とも呼ばれる。
いじめっ子により、封印が解かれたことで自由の身となる。
破壊した当の子どもたちは黒竜を見るなり泣きわめきながら逃げ去って行ったが、主人公だけは逃げずに話を聞いてくれた。それは黒竜にとってとても好印象なことであった。
主人公に処罰がいかないように大人しくしていたが、竜賢者の誘いにより主人公と契約を果たす。(主人公にとっては時期が早い結びの儀である)
その影響で主人公は死にかけ、しばらくはそのことを気に病んでいる。
粗暴で乱雑な性格が主人公を困らせるが、兄貴肌な面もあり主人公の背中を押す良きパートナーになっていく。
その正体は、人竜戦役で封じられた竜神の双子の片割れである。
姫
竜神の妃となるために巡礼の旅をしているお姫様。
場に合わせた振る舞いが出来るものの、主人公に対しては高慢な姫としてのふるまいをする。それはある種の主人公への甘えとなっていくが、それと同時に素直になれない自分への葛藤にも繋がっていく。
巡礼の儀が始まってすぐの際に同行する人物を探していたが、竜の里の巡礼の儀と同時期で行われていたため、姫と歳の近い子を所望したが頼りになる子と言うのはいなかった。
そこに姫の目に留まったのが、主人公であった。
気まぐれで選んだ人物であったが、すぐさま窮地を救われ主人公は姫のお気に入りとなる。
いつしか姫は主人公への恋心を自覚していくことになる。
それは竜神の妃なるべき役割との葛藤に苛まれていくことになり、主人公に想いを告げられないまま儀式で別れを告げ、竜神の妃となることを覚悟を決めた。
竜神
双子の竜神の片割れ。封印されなかった方。
その姿を見ればひれ伏さずにはいられないと評されるほどのオーラがある。
竜神は竜の姿も人の姿も取ることが出来る。
彼は人竜戦役の原因は人間であることを知りつつ、人間すべてが悪ではないとは理解している。
そのうえで同じ過ちを避けるために竜が人を支配する世を望んでいる。
だからと言って人を虐げたいわけではなく、妃となった姫にも自らの意思を押し付けたりはせず、時間をかけて懐柔することを目論む器の大きさがある。
組織
すべての元凶。
彼らが原因で人竜戦役が巻き起こった。
この勢力は何世代も数百年もかけて竜神に取り入り、「竜の眠る地」深くに眠るエネルギーを得ようと考えていた。
そのエネルギーにより竜を支配しようとしていたり、兵器を開発しようとしていたことが当時の竜神にバレ、人と竜の対立が起こった。
その際に当時の竜神の息子たちである双子は巻き込まれ、事の真相を知る片方は人によって封印されることとなった。
竜神はこの時に組織は滅んだと思っていたが、細々と生き残っており、本編でも争いの種を産む。
竜賢者
この世界での人側の権威者。世界でも数人しかいない。
本編では竜の里を訪れ、竜玉を奪取して何かを企んでいる。
主人公と黒竜の契約を促したのもこの人物で、敵なのか味方なのかのらりくらりとたびたび主人公たちと再会することになる。
怪しさ満点のこの人物だが、世界の行く末のことを考えて行動して暗躍している最終的には味方であることが判明する人物である。
主人公の仲間たち
主人公が姫の旅に同行し始めてから出来た仲間たち。
その強さは主人公が一番弱いとすら感じられるほどの何かしらの実力者が集まっており、主人公は自分の役割を持てなかったが、仲間たちを繋ぎとめていたのは紛れもなく主人公であった。
最終的な人数としては主人公と姫含めて5~7人ぐらい?